2019.7.6「『人の上に立つ』ために本当に大切なこと」ジョン・C・マクスウェル
「『人の上に立つ』ために本当に大切なこと」ジョン・C・マクスウェル著を読んでみた。と言ってもAudiobookで聞いたわけだが。
ジョン・C・マクスウェルは、リーダシップ論で有名なベストセラー作家であるが、彼の本は今回初めて読んだ。目から鱗とまではいかないものの、この本で示されているリーダーに必要な21項目については、一つ一つが納得の一冊であった。
まずは、公開されている目次を記す。
1 ──「人格」
リーダーシップとは、 人びとに自信を与える人格のことである。
・妥協とは、築いたものすべてを捨てること
・才能は選べないが、人格は自由に選べる
・人格が弱ければ、成功した瞬間に失敗する
2 ──「カリスマ性」
人と接するとき、相手に好かれるようにふるまうのではなく、相手が自分自身を好きになるようにふるまえばよい。
・「この人についていきたい」と思わせる力
・成功する人は「善なる部分」だけを見ている
・「自分のほうがデキる」と思っている人に一流はいない
・常に相手を「10点満点の人間」だと思う
3 ──「不屈の精神」
夢想する者ではなく、実行する者になる。
・自分が生きた時代に最善を尽くした人は、永遠に生き続ける
・「何かを信じている人」に人はついてくる
・「できる」と思ったすべてのことを達成する
4 ──「コミュニケーション能力」
コミュニケーションの達人は、複雑なことを簡単にする。
・「いっしょに仕事をしたい」と思わせる力
・すべてのコミュニケーションの目標は「行動」にある
・才能があっても、孤立無援では何もできない
5 ──「能力」
能力は言葉を超える。
・「隠された能力」は、ないのと同じ
・本当に有能な人は、タイミングを選ばない
・自分と仕事の間に距離を置かない
6 ──「勇気」
勇気は、他のすべての資質を保証する。
・勇気とは、「自分が恐れていること」をする力
・勇気は確実に伝染する
・「自分にはできない」と思うことをする
7 ──「洞察力」
賢いリーダーは、聞いたことの半分しか信じない。洞察力のあるリーダーは、どちらの半分を信じればいいか知っている。
・洞察力は、得意分野でなければ発揮されない
・洞察力とは「欠けている部分」を見る能力
・洞察力を磨けば、「運」は自分で生み出せる
8 ──「集中力」
あらゆることを上手にできる人間はいない。不思議なのは、上手にできることが多少はあるという点だ。
・一流に「これでよい」と満足する瞬間はない
・「70:25:5」の法則を実行する
・最高の投資は、得意分野にする
9 ──「与える心」
名誉とは、その人が「与えたもの」に対する報酬である。
・「火を分け与えても、ロウソクは減らない」
・真のリーダーは、絶対に見返りを期待しない
・自分の死後も残るものにこそ、与える
10 ──「独創性」
問題を丸く収めようとして、自分の経験と確信を否定してはならない。
・自ら事を起こす人だけが成功する
・成功したければ、失敗の数を二倍にする
・チャンスは「来る」まで待ってはいけない
11 ──「聞くこと」
ささやき声に耳を傾けていれば、叫び声を聞く必要はない。
・相手の心に触れたければ、耳を傾ける
・「人の話を聞かない人」にリーダーはいない
・相手が話していないことを聞く
12 ──「情熱」
他人の思惑ではなく、自分の情熱にこそ従わなくてはならない。
・うまくできることに集中すれば、突出できる
・「情熱のないリーダー」は存在しない
・「火を灯してくれる人」と付き合う
13 ──「前向きな姿勢」
成功者とは、自分に投げつけられたレンガを使って強固な土台を築き上げられる人物のことだ。
・失敗とは、成功までの「あと一歩」に気づかないこと
・人生の不幸の原因は、弱音に耳を傾けることにある
・自分を高めるための「正しい燃料」を選ぶ
14 ──「問題解決力」
あなたの夢の実現を、何にも決して邪魔させてはいけない。
・「文句を言う人」を成功者に変えるたった一つのこと
・「問題は必ずある」と想定する
・問題に直面したとき、あなたの「器」が明らかになる
15 ──「対人関係能力」
人びとは、あなたがどれだけ気遣ってくれているかを知るまでは、あなたの知識がどれだけ豊富であろうと意に介しない。
・人の弱い部分を見たときほど、優しく接する
・本物のリーダーが重視する「人間の六つの共通点」
・「壊れた関係」は、そのままにしておかない
16 ──「責任」
リーダーは何でも手放すことができる。ただし、最終的な責任だけは手放すことができない。
・責任をとらずに「人の上に立つ」ことはできない
・「八時間を超える労働は、未来への投資である」
・自分にできる最高の水準で仕事をする
17 ──「心の安定」
自分一人ですべてをやろうとしたり、功績がすべて自分にあると主張したりする人間は、すぐれたリーダーになれない。
・自分に不安なリーダーに、人はついてこない
・「人から認められたい」という気持ちを捨てる
・自分のものではない成功こそ、祝福する
18 ──「自己規律」
最初で最大の勝利は、自分自身を克服することである。
・まずは、自分自身のリーダーになる
・常に「困難<報酬」になるよう意識を保つ
・規律がなければ、「夢をかなえる力」は育たない
19 ──「奉仕の精神」
自分の地位を愛する以上に、自分についてきてくれる人びとを愛さなければならない。
・一流のリーダーは「地位」にこだわらない
・前進したければ、人を先に行かせる
・「純粋な気持ち」を最後まで失わない
20 ──「学ぶ心」
大切なのは、何かについて知り尽くした後で、さらに何を学ぶかということだ。
・成功を収めた直後こそ、学ばなくてはならない
・「成長をやめた日」は、自分の潜在能力を捨てた日
・「蒔いている種」をチェックする
21 ──「ビジョン」
未来は、それが明らかになる前に可能性を見る人のものだ。
・見えないものは、手に入れることができない
・達成不可能に思えるビジョンは、勝者だけを引きつける
・揺るぎないビジョンを教えてくれる四つの声
・「エネルギーを与えてくれるもの」を知る
目次と重なる部分もあるが、特に心に残った言葉を記してみた。
・才能は選ぶことができないが、人格は選ぶことができる。
・勇気とは恐怖心を抱かないことではない。勇気とは恐れを乗り越えて前に進むことである。
・勇気は伝染する。勇気ある行動は、他の人々を勇気づける。
・勇気とは行動原理であり、単なる考え方ではない。
・すべてのことを上手にできる人はいない。しかし誰にでも、上手にできることが多少はある。この多少上手にできることに注力しなくてはならない。
・「70:25:5」の法則、私は初めて聞いたが、この法則を実行することが大切。自分の強みに70%、新しいことに25%、そして苦手なこと・欠点に5%の労力と時間を費やす。要は自己投資は、自分の得意分野に集中的にするということ。
・組織を成長させたいなら、部下を率いろ。飛躍的に成長させたいならリーダーを率いろ。
・人とうまく付き合うためには、大前提として自分自身とうまく折り合いがついていることが必要である。
・まだ青いうちは成長を続ける。熟したとたんに腐り始める。
リーダーは成長し続けなければならない。成長しないリーダーはリーダーではない。
2019.6.30「宇宙は本当にひとつなのか-最新宇宙論入門」村山斉
「宇宙は本当にひとつなのか-最新宇宙論入門」村山斉著
この本は数年前に読み、最近あらためてオーディオブックで聞き直した。
村山さんの本は好きでよく読んでいるが、この本も最新の宇宙論が非常にわかりやすく書かれており楽しく読み終えた。
まず、冒頭の次の言葉で興味を引き付けられる。
・星や銀河、それを形作るすべての元素のエネルギーを合わせても、宇宙全体の4.4%しかない。残りの約23%は「暗黒物質」、約73%は「暗黒エネルギー」である。このことがはっきりしてきたのは、2003年以降のこと。
この本を聞きながら、不思議な宇宙について思いを巡らすと、なぜか謙虚な気持ちになる。
いつものように目次を示したうえで、心に残った部分を簡単に要約してみたい。
<目次>
第1章 私たちの知っている宇宙
第2章 宇宙は暗黒物質に満ちている
第3章 宇宙の大規模構造
第4章 暗黒物質の正体を探る
第5章 宇宙の運命
第6章 多次元宇宙
第7章 異次元の存在
第8章 宇宙は本当にひとつなのか
・私たちの地球が存在している天の川銀河の中心にもブラックホールはある。これは太陽の約400万倍の重さを持っている。他の銀河にはもっと重いブラックホールも存在しており、太陽の100億倍もあるものも。。。
・暗黒物質がないと、星や銀河ができず、したがって私たちも生まれないことになる。宇宙には1000億個の銀河があるが、それもすべて暗黒物質のお陰で誕生した。
・今から137億年前に宇宙は誕生し、誕生して10の34乗分の1秒後にビッグバンが起こり、3分間にヘリウム等の原子核ができた。さらに宇宙が膨張し38万年後になると光が真っ直ぐ進めるようになった。これが「宇宙の晴れ上がり」と言われる現象。この38万年後の光を私たちは見ることができる。
この光は今では引き伸ばされて電波になっており「宇宙背景放射」と呼ばれる。マイナス270.4℃、絶対温度2.75Kでビッグバンの名残を宇宙全体に残している。
・物質を作っている素粒子のグループは「フェルミオン」、力の働いている物質間でキャッチボールされる素粒子は「ボソン」と呼ばれる。さらに、もう一つのグループがある。それが、すべての素粒子に質量を持たせる役割の「ヒッグス粒子」である。
・ボソンには、電磁気力を伝える「光子」、強い力の「グルーオン」、弱い力の「ウィークボソン」がある。さらに、まだ見つかってはいないが重力を伝える「グラビトン:重力子」が予測されている。
・銀河という構造が宇宙にできたのは、宇宙が約6.5億歳のときからと考えられている。
・暗黒物質は異次元からやって来たという説もある。私たちが認識している4次元の世界は、5次元以上の時空に埋め込まれた膜のようなもので、私たちはこの膜の上でしか動けないが、この膜から自由に出入りできる粒子も存在している、という考え方である。たとえばアメリカの物理学者リサ・ランドール博士は「ワープする宇宙」の本のなかで「この4次元の膜が二つ平行に並んでいて、その間に空間がある。この空間は片側が小さくて、もう片側が大きいという不思議な形=ワープしている」と書いている。これは今かなり有力な理論で、まじめに考えられている。
・「宇宙は常に膨張しているが、膨張速度は徐々に遅くなっている」と思われてきたが、超新星爆発の観測からは宇宙の膨張する速度がどんどん速くなっている、という答えが返ってきた。これを説明するためには、引力に対抗して宇宙を広げるように斥力を利かせるものが必要になる。宇宙が大きくなっても薄まらない何かがある。その何かが暗黒エネルギー。そして、なぜかはわからないが、この暗黒エネルギーはエネルギー量が増える。
・多元宇宙という言葉には、大きく分けて二つの意味がある。一つ目は「多次元」の宇宙。次元というのは時間や空間の広がりを表すもので、私たちの目には宇宙空間は3次元に見えている。私たちは上下、左右、前後と三つの方向に動けるので3次元空間と言っているが、実は私たちが気づいていない方向があるかもしれない。つまり、この宇宙空間には3次元以上の次元があるという考えを多次元宇宙という。
・二つ目が「多元宇宙」。多次元宇宙は次元は多くなっても、宇宙の数は一つのままであった。多元宇宙は、「宇宙はたくさんある」という考え方である。私たちが住んでいる宇宙は、たくさんある宇宙の中の一つで、この宇宙には他にもたくさんの宇宙があるかもしれない、という考え方。
・一般には、空間は3次元、時間は1次元であわせて4次元時空と言われている。宇宙は「超ひも理論」によれば10次元と予言されている。つまり10ー4の6次元が私たちの知らない異次元ということになる。
・私たちが3次元空間とは別の方向にある次元に気づかない理由としてもっとも有力なのは、「3次元以外の次元はすごく小さい」というもの。異次元の方向というものが小さくて丸まって曲がった空間であるため、人間は気づかないだけだということだ。
・電磁気力は3次元空間にへばりついていて、重力は異次元にもにじみ出る、という違いを認めると、両者の力の強さの違いが説明できる。
アインシュタインが言うには、「重力とは空間を曲げるもの」だということ。つまり重力は空間の性質として説明できるので、異次元であろうと空間である限りは、重力の作用で曲がる、と考えられる。重力は特別であって、どの次元でも動くことができるが、電磁気力は3次元の膜にへばりついている、と考えられる。
・多元宇宙の考えは、物理学者エベレットが唱え出した量子力学の「多世界解釈」から、まじめに議論し出した。
・量子力学では不確定原理が働くが、エネルギーでも変なことが起こる。波の性質も併せ持つ粒子は、狭いところに押し込められると非常に激しく揺れる。つまりミクロの世界で粒子を短い時間観測すると、とても大きなエネルギーを持っているように見える。これは言い換えると、ほんの少しの時間であれば、他からエネルギーを借りてくるようなことができるということ。この借りてきたエネルギーで粒子や反粒子を作っている。
・真空は空っぽな空間だと思ってしまうが、実は粒子と反粒子はたくさんできたり消えたりしている。粒子や反粒子はエネルギーがないとできない。真空の中ではエネルギーの貸し借りが起こり、たくさんの粒子や反粒子ができては消えてを繰り返している。
・超ひも理論を使って宇宙の性質を調べていくと、宇宙が文字通り天文学的な数存在する可能性が出てきた。そこで出てきたのが「人間原理」という考え方。
この宇宙はうまくできすぎている。宇宙のことを観測するのは人間である。つまり人間が生まれないということは、観測されないので存在しない、もしくは存在しないことと同じこと。たくさん生まれた宇宙のなかで、ごく稀に条件がそろった宇宙に人間が生まれ、そのような特殊な宇宙だけが科学の対象になり、私たちが見ることができる。これが「人間原理」の理論である。
・時間は一次元のときは、前と後ろがはっきりしているので、時間の向きが決められる。しかし二次元になると、前と後ろがわからなくなる。そうすると過去に戻ってしまうということが起こる。過去に戻れる宇宙は、いろいろな問題が起こる。時間が二次元以上の可能性はあるものの、こういう理由からとりあえず時間は一次元としておくというのが、今の物理学の考え方。
2019.6.29「一流の頭脳」アンダース・ハンセン
「一流の頭脳」アンダース・ハンセン著をオーディオブックで聞いた。2度続けて聞いてみて「なるほど」と思ったところを記してみたい。
まず著者のアンダース・ハンセンは、スウェーデンにあるノーベル賞(生理学・医学賞)を決めている機関でもある「カロリンスカ研究所」で研究し、今は精神科医である。また、2000件以上の医学記事を発表した世界的研究者でもある。
そんな彼が本書で伝えていることは、一言で言えば「脳の力を最大化するためには運動、特に有酸素運動が最も有効である」ということに尽きる。
少し順を追ってポイントを押さえてみる。
いつものように目次から
第1章 自分を変える「ブレイン・シフト」
第2章 脳から「ストレス」を取り払う
第3章 カロリンスカ式「集中力」戦略
第4章 「やる気」の最新科学
第5章 「記憶力」を極限まで高める
第6章 頭のなかから「アイデア」を取り出す
第7章 「学力」を伸ばす
第8章 「健康」な頭脳
第9章 超・一流の頭脳
第10章 「一流の頭脳」マニュアル
・定期的な運動によりストレスを減少させることができる。
ストレスは、ストレス要因が偏桃体に刺激を与え、ストレスホルモンであるコルチゾールを分泌し、結果ストレスが発生する。
運動していると、このコルチゾールの分泌量が少ししか上がらなくなる。つまり体を動かすことでストレスに対する抵抗力が高まる。
・偏桃体が感情のアクセルとすれば、この偏桃体を抑えるブレーキ役は海馬と前頭葉になる。運動はこの海馬と前頭葉を強化する。定期的な運動を長期間続けていれば海馬も前頭葉も物理的に成長さえする。
・人が集中しているときは、ドーパミンが発生している。運動することでドーパミンやアドレナリンが放出され数時間は増加状態を維持する。つまり集中力が運動によって高まる。
・多くの研究によれば、一番効果的な運動はランニングということになるが、もちろんウォーキングにも効果がある。心拍数を一定以上上げる運動であれば効果があるということ。ある論文によると、1日20~30分ウォーキングするだけでうつ病を予防できることがわかった。
・BDNF(brain derived neurotrophic factor:脳由来神経栄養因子)とは、脳が生成するたんぱく質で、脳細胞の新生や記憶力、全般的な健康など、脳の様々な働きを促進する作用がある。
つまりBDNFは、脳細胞が傷ついたり死んだりしないよう保護し、新たに生まれる細胞を助け、初期段階にある細胞の生存や成長を促すという役目も果たしている。
また、細胞間の連携を強化し、記憶力を高める。さらに脳の可塑性を高め、細胞の老化を遅らせるなど、まさに脳の救世主といっていい働きを行う。
・運動はこのBDNFを増やす、もっとも有効な方法である。特に有酸素運動が効果的。
運動ほど脳細胞の新生を促すために有効な方法はない。運動すればBDNFが生成され、そのBDNFが脳細胞の新生を促進する。
・記憶力を最大化するには、運動しながら記憶するのが最も適している。運動と暗記を同時にすれば効果がある理由は明らかになっていないが、ウォーキングや軽いジョギングをしながら暗記すると最も効果的だ。
・創造性を増やすためにも、有効なのはやはり運動である。20~30分のジョギングの効果が大きい。
・20年前までは、脳細胞は新生されることなく死んでいくだけ、と考えられていた。しかし今は、多くの脳細胞は可塑性があり、新生されることがわかってきている。
そしてこの脳細胞の新生を促す最も効果的な方法は、薬でも脳パズルでもなく運動であることは多くの研究によって明らかになっている。
・あらゆる研究が示すものは、「運動すれば脳が活性化され頭が良くなる。認知症にもなりにくい」という結論である。しかも激しく厳しい運動は必要ない。定期的な有酸素運動、つまり週2回以上の30~45分程度のジョギングやウォーキングで十分に効果がある、ということ。できれば心拍数をあげるランニングが好ましいということではあるが。
・著者も言っているが、もしこれが「新薬発見」による効果であれば、世界中で大騒ぎになるだろう。しかし、運動という「誰でも簡単に出来、お金もかからない手段」によって効果が得られるが故に、誰も凄いことと思わないしマスコミも注目しない。言い換えると「運動」では商売にならないのである。
したがって、今日も多額の研究費が、認知症予防などの新薬開発につぎ込まれている。
2019.6.15「わかりあえないことから~コミュニケーション能力とは何か」平田オリザ
この本「わかりあえないことから~コミュニケーション能力とは何か」も、最初にAudiobookで聞いた後、紙の本も購入し読み直した。平田オリザさんが書かれた本は、これが初めて。対話と会話の違い、話し言葉における冗長性の位置づけなど、「なるほど」と新たな気付きを得ることのできた本である。
~目次~
第1章 コミュニケーション能力とは何か?
第2章 喋らないという表現
第3章 ランダムをプログラミングする
第4章 冗長率を操作する
第5章 「対話」の言葉を作る
第6章 コンテクストの「ずれ」
第7章 コミュニケーションデザインという視点
第8章 協調性から社交性へ
この本ではまず、現在の日本企業が求めるコミュニケーション能力が、完全にダブルバインドになっていることを指摘している。
ダブルバインドとは、二つの矛盾したコマンド(特に否定的なコマンド)が強制されている状態をいう。
たとえば企業は表向きには「異文化理解能力」を求めている。これは、異なった文化、価値観を持った人に対しても、その背景を理解し、きちんと自分の主張を伝えることができる能力。さらに時間をかけて妥協点を見いだすことができる能力ということ、素晴らしい能力である。
ところが一方で、無意識のうちに日本的な能力を同時に求めている。「上司の意図を察知して機微に動く」あるいは「会議の空気を読んで反対意見は言わない」など、一言で言えば聖徳太子の時代から大切にされてきた価値感「和」を大事にし乱さない、ということか。
つまり私たちの暮らす日本社会は、「異文化理解能力」と従来からの「同調圧力」のダブルバインドにあっている。
この理解がコミュニケーションを考えるうえで、もっとも大切な前提となるだろう。
ここからは、本を読んでいくなかで特に心に響いたポイントを簡単にまとめてみる。
・話し言葉は、無意識に垂れ流されていく。これをどこかでせき止めて意識化させる。できることなら文字化させる。これが話し言葉の教育。
・人間は何かの行為をするとき、必ず無駄な動きが入る。認知心理学の世界では、マイクロスリップと呼ぶ。
うまい俳優と下手な俳優の違いの要素の一つとして、この無駄な動きの挿入度合い(量とタイミング)がある。
・「ある台詞を言うときにはグラスを見る」というように、私たちの脳はインプットとアウトプットを関連付けて記憶している。長期的な安定した記憶は、複雑な印象の絡み合いから起こる。
・いま大事なことは、「たくさん覚える」「早く覚える」から「よく覚える」という教育への転換である。
・強弱アクセントによって感情を表現するという歪んだ演技方が、日本における近代演劇の成立以来、ずっと長く流布してきた。「芝居がかった」「芝居臭い」という感覚は、実はここに由来する。
・日本語の最大の特徴は、語順が自由だということにある。
・私たちは、どんなときに間投詞、「ああ」「ええ」「まあ」をよく使うのだろうか?
・「対話」と「会話」を区別する、これが大事。
対話とは「ダイアログ」、会話とは「カンバセーション」、英語では異なる概念であるが、日本語ではこの区別が極めて曖昧となっている。ここであえて二つの言葉を定義し直すなら
「会話」=価値観や生活習慣なども近い親しいもの同士のおしゃべり
「対話」=あまり親しくない人同士の価値観や情報の交換。あるいは、親しい人同士でも価値観が異なるときに起こるその摺あわせなど
・日本社会独特のコミュニケーション文化=「わかりあう文化」「察しあう文化」、そしてこの背景のもと「温室のようなコミュニケーション」が存在する。
これと対照的に、ヨーロッパを中心としたグローバルな世界では、「説明しあう文化が形成されてきた。
・コミュニケーションのダブルバインドを乗り越えるということはむなしさに耐える、ということ。
・「対話」と「対論」の違いは何か?
対論=「ディベート」はAとBという二つの論理が戦って、Aが勝てばBはAに従わなければならない。Bは意見を変えなければならないが、勝った方のAは変わらない。
一方、対話はAとBという異なる二つの論理が摺合わさり、Cという新しい概念を産み出す。AもBも両者が変わるのだという前提に話を始める。
・話し合い、二人で結論を出すことが、何よりも重要なプロセスである。
・日本では説明しなくてもわかってもらえる事柄を、その虚しさに耐えて説明する能力が要求される。この能力を「対話の基礎体力」と呼んでいる。
・「冗長率」とは、一つの段落、一つの文章に、どれくらい意味伝達とは関係のない無駄な言葉が含まれているかを、数値で表したもの。
・人は、「会話」においては、間投詞を多用しない。それが「対話」になると間投詞が多用される。つまり「対話」においては冗長率が増す。
・私たちが「あの人は話がうまいな」「あの人の話は説得力があるな」と感じるのは、冗長率を時と場合によって操作している人である。冗長率を操作できる人が、コミュニケーション能力が高いとされるのである。
参考:「くりかえしの文法」(大修館書店)プリンスト大学東洋学科教授 牧野成一
・多くの途上国では今も高等教育の授業は、英語か、あるいは旧宗主国の言語で行われている。こういった環境では、なかなか民主主義は育たない。言語の取得が、社会的な階層をそのまま決定づけてしまうため。
論理的な事柄を自国語で話せるようにするのには、ある種の知的操作や、それを支える語彙が必要で、自然言語のままできるものではない。
・日本語には対等な関係で褒める語彙が極端に少ない。上に向かって尊敬の念を示すか、下に向かって「褒めてつかわす」ような言葉は豊富にあるが、対等な関係の言葉が見つからない。そして今、「対等な関係における褒め言葉」という日本語の欠落を「かわいい」は、一手に引き受けて補っている。
・関係がなければ言葉は生まれない。
・日本語は、もっとも性差(男女間)の激しい言葉の一つである。このことが、無意識のレベルで女性の社会進出を阻んでいる。
・言葉の観点から言えば、「対話」の欠如がファシズムを招いたと言える。後発の近代国家であった日本、ドイツ、イタリアは、合理的にエッセンスだけを模倣しようとする。そこでは無駄は排除されスピードが求められる。
したがって、冗長性が高く面倒で時間のかかる「対話」は当然のように置き去りにされた。
そして日本では、まだ「対話」の言葉を確立していない。
・日本人の奥ゆかしく美しいコミュニケーションは、国際社会においては少数派であるという認識が必要である。
欧米では、自分の芸術について語れなければ無能扱いされる。翻って日本では、芸術家が自作を語ったり、説明するのは野暮なこととされる。
欧米のコミュニケーションが、取り立てて優れている訳ではない。しかし多数派は向こうである。多数派の理屈を学んで損はない。
・マナーと人格は関係ない。多少の相関はあるだろうが、性格は悪くてもナイフとフォークの使い方だけはうまい奴はざらにいる。コミュニケーション教育は人格教育ではない。
・話し言葉の個性の総称を、「コンテクスト」と呼ぶ。コンテクスト=context は、本来”文脈”という意味だが、「その人がどんなつもりでその言葉を使っているのか」の全体像と少し広く捉えると分かりやすい。
まったく文化的な背景が異なるコンテクストの「違い」より、その差異が見えにくいコンテクストの「ずれ」の方がコミュニケーション不全の原因になりやすい。私たちは「ずれ」には気づきにくい。
・近代科学は、「How」「What」には、結構答えられるのだけれど、「Why」については、ほとんど答えられない。
・リーダーシップとは、人を説得できる、人々を力強く引っ張っていく能力を指す。しかし、これからの時代に必要なもう一つのリーダーシップは、弱者のコンテクストを理解する能力であろう。
・様々な問題を個人に求めるのではなく、関係や場の問題として捉える。
・原因と結果を一直線に結びつけない考え方を一般に「複雑系」と呼ぶ。
・「シンパシーからエンパシーへ」つまり「同情から共感へ」「同一性から共有性へ」
・日本人に求められているコミュニケーション能力が変わってきた。今までは、空気を読む能力、「こころを一つに」「一致団結」といった「価値観を一つにする方向のコミュニケーション能力」が求められてきた。
これからの新しい時代には、「バラバラな人間が、価値観はバラバラなままで、どうにかうまくやっていく能力」が求められる。いわば「協調性から社交性」である。
・心からわかりあえることを前提、最終目標としてコミュニケーションを考えるのではなく、「人間はわかりあえない。でもわかりあえない人間同士が、そうにかして共有できる部分を見つけて、それを広げていくことならできるかもしれない」と考える。
・フィンランド・メソッドに象徴されるヨーロッパの国語教育の主流は、インプット=感じ方は、人ぞれぞれでいいというもの。逆にアウトプットは、一定時間内に何らかのものを出しなさい、というのがフィンランド・メソッドの根底にある思想である。
いい意見を言った子供よりも、様々な意見をうまくまとめられた子供が褒められる。
もっとも重視されるのは、集団における「合意形成能力」あるいはそれ以前の「人間関係形成能力」である。
・大人は、様々な役柄を演じ分けながら生きている。私たちは多様な社会的役割を演じながら、かろうじて人生の時間を前に進めている。
本当の自分などというものはない。私たちは、社会における様々な役割を演じ、その演じている役割の総体が自己を形成している。
この演じるべき役割を「ペルソナ」と呼ぶ。この単語には「仮面」という意味と、personの語源となった「人格」という意味が含まれている。仮面の総体が人格を形成する。
人間のみが、社会的な役割を演じ分けられる。私たちは演じるサルなのである。
・かつて自動炊飯器が日本の家庭に普及したとき、日本の主婦の睡眠時間が1時間延びた。冷蔵庫が普及すれば、日本の家庭から食中毒が一掃された。洗濯機がお母さんの手からあかぎれを無くした。
2019.526「世界のエリートが学んできた『自分で考える力』の授業」狩野みき
「世界のエリートが学んできた『自分で考える力』の授業」狩野みき著、この本はAudiobookで聞いた後、気に入って単行本を買い再読した。非常に読みやすくさらっと読めたが、「一人弁証法」などすぐにでも役立ちそうなルールが書かれており参考になった。
まずはいつものように目次から。
Lesson1 「自分の意見」の作り方~なぜ、私たちは「想定外」に弱いのか
Lesson2 理解を深める~「事実らしきもの」を前に考えを止めない
Lesson3 視点を増やして発想を拡げる
Lesson4 未来のシナリオで現実的な選択肢を手に入れる
Lesson5 上手に「意見を交換する」ために欧米人が持っているルール
Last Lesson 「?」に気づくことが「考え」のはじまり
以下、備忘録としてポイントを記す。
■Lesson1 「自分の意見」の作り方~なぜ、私たちは「想定外」に弱いのか
・自分の意見の作り方3ステップ
step①(あること)に対して自分はどれだけ理解しているのか確認する。
→「理解していること」を確認すれば、「理解できていないこと」が明らかになる
step②(あること)について理解できていないことは何か把握し、「理解できていないこと」を解決するために調べる。 → 理解が深まる
step③ 自分の意見を持つ
大事なのは、step①と②をスルーして、いきなりstep③に行ってはならない、ということ。
・日本では「クリティカル・シンキング」のことを「批判的思考」と訳すことから、誤解を受けているが、本来のクリティカル・シンキングとは、「批判する」ということではなく「物事の是非を慎重に判断する」という意味である。
意見や主張は、よい根拠がなければ、何の説得力もない。
・クリティカル・シンキングでは「視点の多さ」も重要。視点を増やす一番手っ取り早い方法は、「もともとの主張とは反対の主張」をしてみること。
・「比較」が人間の考えを深めてくれる。
■ Lesson2 理解を深める~「事実らしきもの」を前に考えを止めない
・理解を深めるための最大の敵は、「理解したつもり」になること。自分が本当に理解しているのか、を確認するために「5歳児に説明してみる」というシミュレーションをやってみる。
「平易な言葉で説明できなければ、十分に理解しているとは言えない」by アインシュタイン
・クリティカル・シンキングで必ず押さえるべきことのひとつ、「事実」と「意見」を区別する。
■ Lesson3 視点を増やして発想を拡げる
・「一人弁証法」…とにかく自分の考えに反対する視点で考えてみることにより、自分の考えをさらに深める、という手法。
弁証法とは、①「A」という考えがある →②それに反対する「非A」という考えを持ち出して「A」と戦わせる →③「B」という新しいアイデアが生まれる、というプロセスを意味している。
このプロセスを自分一人でやることを「一人弁証法」と呼ぶ。
■Lesson4 未来のシナリオで現実的な選択肢を手に入れる
・人の意見にはたいていの場合、背景や思い込みなど、本人にとっては当たり前すぎて口にしない前提が含まれている。これをクリティカル・シンキングでは「暗黙の前提」と呼ぶ。その意見に対して「釈然としない」という感覚があるときは、たいてい、そこに「暗黙の前提」が隠れている。
・この暗黙の前提を見抜くためには、意見を「根拠」部分と、「結論」部分にばらして図式すると分かりやすくなる。
・「よりよい決断をするための思考プロセス」
①決断しかねている「行動」を肯定分で書く
②なぜその行動を起こしたいのか、目的を明確にする
③その目的を達成するためにはどんな手段があるか、書き出す
④それぞれの手段がもたらし得る未来を予測し、うまく行った場合と行かなかった場合のしなりをを書き出す
⑤自分のポリシー合わない、現実的でない、ものを消去する
■Lesson5 上手に「意見を交換する」ために欧米人が持っているルール
・上手に意見交換するための14のルール
[ルール1]この世に絶対正しい意見などない、と心得る
[ルール2]相手にとって分かりやすいコトバと流れで伝える
[ルール3]これから話す内容の「マップ」を示す
[ルール4]大事な箇所は表現を変えながら繰り返して伝える
[ルール5]断定的な口調は避ける
[ルール6]反論=人格否定、ではないと心得る
[ルール7]NOは相手からの「質問」だと思う
[ルール8]相手の話を遮らない
[ルール9]「わかったつもり」はNG
[ルール10]相手の意見の丸呑みは「尊重」ではない
[ルール11]相手のペースに飲まれない
[ルール12]根拠を聞こう、口に出そう
[ルール13]知ったかぶりをしない
[ルール14]反対するなら代替案を示す
■Last Lesson 「?」に気づくことが「考え」のはじまり
・日本人は、「何かおかしい」「何か納得がいかない」という感覚をそのまま放っておく傾向がある。まずは、そういう気持ちの存在にきちんと気付いてやることが大切。
この感覚を大事にして探ることで「本当に大事なこと」に巡り合うことができる。
2019.5.26「捨てる力」羽生善治
羽生さんの本は「直観力」に続いて2冊目。今回もオーディオブックで「捨てる力」を読んだ(聞いた)。
先日の新聞では、羽生さんの通算勝利数が大山康晴15世名人に並び歴代1位の1433勝となった、とのニュース。
この本でも書かれているが、「才能とは努力を続けることのできる能力」まさにそのとことを体現した結果だろう。
本を読んで、いくつか心に残った言葉をメモに残す。
・新しいことを覚えるためには、古いことを忘れなくてはならない。
・人は選択しなかった選択肢を、必要以上に良いものと思ってしまう。それが後悔の原因となる。よい人生を歩むためには、選択したら選択しなかった選択肢のことを忘れること。
・リスクを恐れてリスクから逃げては、結果的に将来のリスクを増やしてしまう。積極的にリスクを負うことが、本来のリスクを最小化する。
・多くの情報から本当に必要な情報を得るためには、”選ぶ”より”捨てる”ことの方が大切。
・才能とは「努力しなくてもできること」ではない。「10年、20年と情熱を傾けて努力し続けることができる能力」を言う。
2019.5.12「健康は『内臓さん』で決まる」伊藤裕
Audiobookで聞き終えた本「健康は『内臓さん』で決まる」の内容を一言であらわすと、「”臓器の時間”がゆっくりと流れる生活こそ、健康で長生きするコツである」ということ。また、この本の中で一貫して「大切だ」と強調されているのは次の二つ。
「人は生きるために食べるのではない。食べるために生きるのである」
「仕事の合間に食べるのではない。食事の合間に仕事をする」
要は、「生きることの本質は食べること」
この本のポイントをいくつか記載してみる。
・健康と不健康の境界を考えたとき、「やや健康」とか「やや不健康」という状態はない。ある日突然、健康から不健康になる、これが病気のメカニズム。
・内臓ストレスを減らす方法は次の4つ
①空腹感と低酸素間を持つ
②いい思い出を大切にする
③正しい時間に沿って生活する
④慣れを取り入れる
・血液の使用量は、腸が30%、腎臓が20%、脳と骨格筋が15%。腸と腎臓が健康の要。
・太陽に合わせて生活する。
「昼間より夜は気が滅入るものだ。勇気は太陽とともにやって来る」デール・カーネギー
・ミトコンドリアが酸素を消費してエネルギーを生み出す。ミトコンドリアの働きが鈍ると活性化酸素が増え、体内に悪影響を与え、臓器の時間を進めてしまう。
・ミトコンドリアに緊張感を持たせ活性化する方法
①適度に空腹感を持たせる→糖質と資質を減らす
②適度に低酸素間を与える→無酸素運動をする
・過去の経験、繰り返しの経験を細胞に記憶として残す仕組み、経験によって遺伝子の働きを変える仕組み、これを「エピジェネティクス」という。
・遺伝子の情報は変わらなくても、遺伝子にくっつく分子によって、遺伝子の仕組みや性質が変わる。そしてその性質は一生涯あるいは世代を超えて受け継がれることもある。
・例えば、ミツバチの女王バチと働きバチは同じ遺伝子を持つ姉妹。幼い時にローヤルゼリーを食べた個体が女王バチになる。
・習慣そのものでなく、習慣を通した慣れが大切。この慣れによって内臓ストレスが軽減される。
・ダンバーによれば、私たちのネットワークは3の倍数で作られている。最も親しい人たち、無償でお金を貸すことのできる人は3~5人。その3倍にあたる10~15人はシンパシーグループ、共感できるグループで多くの団体競技の人数がこの範囲である。さらにその3倍45~50人は、原住民が集団で移動する単位。そしてその3倍の150人は人間のネットワークの限界、顔と名前が一致し関係を維持できる人数、つまりダンパー数。
・7000人を対象とした調査によると、社会的ネットワークが強い人、つまり血縁・地縁が強い人ほど長生きできることが分かっている。
人は人と人のネットワークを大きくするために脳を大きくしてきた。そして、そうすることで生き残ってきた。
最後に「大切な時間」を生み出す10ヶ条を示す。
1 ゆっくり食べると腸の時間は遅くなる
2 夜のコンビニは決して利用しない
3 小腹対策をしない
4 「空腹感」と「低酸素感」を与える
5 夜の運動よりも朝の運動
6 「赤ちゃんの生き方」を実践する
7 真面目な人をやめてみる
8 「3の倍数」で人付き合いを始める
9 できるだけ大きな妄想を巡らす
10 いい想い出しか入れない「マイアルバム」を作る
【おまけ】
この本で初めて聞いた言葉「エピジェネティクス」について、少し調べてみた。
エピジェネティクスとは?
私たちの体は皮膚や胃、腸、肝臓など様々な組織からできている。そして、これらの組織は別々の細胞から構成されている。どの細胞も同じ遺伝子を持っているのに、別々の組織になれるのは、使う遺伝子と使わない遺伝子に目印を付けているからである。エピジェネティクスとは、この目印を解明する学問ということができる。
皮膚から胃ができないことからわかるように、エピジェネティックな目印は、いったん付くと容易には外れない。
細胞内のDNAは、ヒストンと呼ばれるたんぱく質に巻き付いてできている。エピジェネティックな目印には、DNAにつく目印(DNAメチル化)とヒストンにつく目印(ヒルトン修飾)の2つが知られている。
※国立がん研究センター 研究所のホームページより引用