2019.3.10「鳥類学者無謀にも恐竜を語る」川上和人

今週読み終えた本は次の2冊。

1「自分の頭で考え動く部下の育て方」篠原信(A)

2「鳥類学者無謀にも恐竜を語る」川上和人

続いて2について。

「鳥は恐竜である」に留まらず、さらに「恐竜は鳥である」とまで著者は言いきる。この本はよくある恐竜本ではなく、まさに鳥類学者(鳥の専門家)が書いた恐竜の本である。

「第3章 無謀にも鳥から恐竜を考える」では、鳥の生態をもとに恐竜の外観の色、巣の作り方、夜行性か昼行性か、などを妄想(?)豊かに語っている。鳥についての知識はもちろん、恐竜に対する知識も半端なく、最新の研究成果も盛り込みながら、しかし自由な発想で面白おかしく恐竜への愛を綴っている。

読んでいて「なるほど」と新しく気付かされたことを、いくつかメモしておく。

・恐竜が二足歩行を実現することができたのは、それ以前の爬虫類と異なる脚の付き方を進化させたからである。ワニやトカゲでは、体の横から張り出すように脚がついている。一方、恐竜の脚は、体から下向きについている。

これによって恐竜は巨大化できた。さらに移動距離を大幅に広げることもできることとなった。

・「グロージャーの法則」南に行くほど生物の色が濃くなるというパターンのこと。「ベルグマンの法則」北に住む個体ほど、体が大きくなるという法則。

・進化は「節約的」に考えることがルールとなっている。つまり色々な種類で同じ進化が何度も独立して起こったと考えるより、共通の祖先が一度だけ進化したと考えるほうが、より確からしいと言う考え方である。

・恐竜は立派な尾を持っている。この尾はなんのために進化したのか?

脊椎動物はもともと水中で進化してきた。魚類が生まれ両生類が出現した。魚類時代の尾は間違いなく推進力を得るための運動器官として発達してきた。しかし陸上では、カエルを見れば一目瞭然。オタマジャクシ時代にはあった尾が、カエル時代にはなくなる。空気は水に比べて抵抗が小さいため、尾で推進力を生み出すことは難しく、元来の目的で維持する必要がなくなったと考えられる。では何故、恐竜には大きな尾があるのか。尾は単なる重りではなく、走るための巨大な筋肉の格納庫であり、その支えとなっている。また、巨大な上半身を支えるバランサーというのも尾の重要な機能の一つだろう。

・鳥のくちばしは、歯のある口の代わりに生まれたものではない。手の代用品として生まれたというべきだ。つまり「くちばし=手+口」なのである。

・味覚には、甘味、旨味、酸味、塩味、苦味の基本要素がある。甘味はエネルギーになる糖の味、旨味は体を作るアミノ酸の味、塩味は必須元素のミネラルの味、苦味は毒の味、酸味は未熟や腐敗といった鮮度を示す味。このとおり味の要素には、すべて生きていくための意味がある。

・種子が未熟な間は、果肉に酸味や苦味がある。種子が成熟し種子散布される準備が整うと、果肉が甘く美味しくなり芳香を放ち散布者を誘う。種子は果肉という対価を払い、動物というタクシーに乗って移動する。

・今から6,600万年前の白亜紀末、恐竜時代が突然終わりを告げた。この白亜紀末には、恐竜だけでなく被子植物アンモナイト翼竜、首長竜など様々な分類群で絶滅が起こっている。原因として考えられているのは、メキシコのユカタン半島にあるクレータを生み出した巨大小天体衝突である。直径200キロにも及ぶ巨大クレーターで、チチュルブ・クレーターと呼ばれている。

衝突による衝撃は、大地震を起こし、衝突による噴出物は地球全体での気温上昇をもたらし、地表面温度は260度に達したと言われる。

 

福井駅前にある動く恐竜のモニュメントに驚いたのは、3年前。仕事で訪れた福井駅の真ん前に、声をあげ動く巨大な恐竜がいた。

男の子はみんな恐竜が大好きだが、私も小さい頃、恐竜にあこがれ図鑑を見たものだ。その後ジェラシックパークなどの映画で、実際に闊歩する恐竜に興奮したものである。その映画にも匹敵するようなリアルな恐竜が駅前にいたのである。本当にびっくりした。

この本は、そんな恐竜への興味をさらに駆り立てる。子供の頃同様、またまた恐竜に関する本を読んでみたくなった。