2020.6.28「エッセンシャル思考」グレッグ・マキューン

3年前に読んだ本だが、最近またベストセラーになっているようなので読み返してみた。

まずは目次。

PART1 エッセンシャル思考とは何か
第1章 エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考
第2章 選択
第3章 ノイズ
第4章 トレードオフ 

PART2 見極める技術
第5章 孤独
第6章 洞察
第7章 遊び
第8章 睡眠
第9章 選抜

PART3 捨てる技術
第10章 目標
第11章 拒否
第12章 キャンセル
第13章 編集
第14章 線引き

PART4 しくみ化の技術
第15章 バッファ
第16章 削減
第17章 前進
第18章 習慣
第19章 集中
第20章 未来
最終章 エッセンシャル思考のリーダーシップ

 

この本で著者が言いたいことは、次の一言に集約される。

より少なく、しかしより良く」を追求する生き方をしよう。

言い換えれば

「全てやる」から「より少なく、しかしより良く」へ生き方を変えよう

ということ。これをエッセンシャル思考と呼んでいる。

さらに別の言い方をすれば、「自分の選択を自分の手に取り戻す」こととも言える。

自分で優先順位を決めなければ、他人の言いなりになってしまう。

以下、印象に残ったポイントを備忘録として残す。

 

・エッセンシャル思考のポイントは3つ   ①選択 ②ノイズ ③トレードオフ

・選択が多過ぎると人は疲れる。これを「決断疲れ」と呼ぶ。(心理学用語)

 選択の機会が増え過ぎると、人は正しい判断、決断ができなくなる

・オーストラリアのホスピスの看護師が語る、死を迎える患者の後悔のうち最も多いもの

 「他人の期待に合わせるのではなく、自分に正直に生きる勇気が欲しかった

・捨てる仕組みを作らない限り、やることは再現なく増える

 ①(本質的なものを)見極める → ②(それ以外を)捨てる → ③仕組み化する

・「trivial  Many」たくさんの『どうでもいいこと』より、「vital  Few」数少ない『本質的なこと』を全力で追求する。私もこういう生き方をしたい。

「選択」とは「行動」である。まずは「選ぶ」と言う行動を選ぶ

・「学習性無力感」が招く2つの行動

 ①努力をすっかりやめてしまう

 ②すべてを引き受け、がむしゃらに努力する(自分では何一つ選ぶことができなくなっている状態=選択・判断することを放棄した状態…意思決定や選択から逃げるために全てをやろうとする)

 → 何かを選ぶことは、必然的に何かを捨てること(選択できない=捨てることができない

  ※「学習性無力感」とは、努力しても無駄との経験から陥る心理状況を表す心理学用語

「バイタル・フュー(Vital Few)の法則」:ある種の努力は、他の努力より圧倒的に効果が大きい

 昔からよく言われる法則に「80対20の法則」(パレートの法則とも言われる)がある。これは19世紀イタリアの経済学者ヴィルクレド・パレートが見出した、「成果の80%は20%の努力に起因する」という法則。

・その後1951年に品質管理の父 ジョセフ・M・ジュランが、この法則を拡張しバイタル・フューの法則=決定的に重要な少数の法則を提起した。

 この法則を一言で要約すると、「重要な少数」が「些末な多数」に勝る、ということ

 さらに言い換えれば「本当に重要なことにYESと言うため、その他すべてにNOと言う」とういうこと

トレードオフすべての意思決定、判断は「トレードオフである。

 「何かを選ぶことは、何かを捨てること

 「何かにYESということは、その他すべてにNOと言うこと

 この現実を受け入れることが大切

 ・選択肢が2つあった時、「どうすれば両方できるか」と考えるのではなく「どちらの問題を引き受けるか」と考える

 →「完璧な答えなど存在しない、あるのはトレードオフだけ

・洞察…情報の本質をつかみ取る(大局を見る)こと

 点の集まりではなく、点同士をつなげる線に気づく

 語られなかったことに耳を傾ける

 どれほど優れた記憶力も、鉛筆一本にかなわない

 現場を知り、普通を知り、そうでないところ(逸脱)を探る

 問題を知る=そもそも何に対して答えを出すのか、を知る

・遊び…遊びが大切な理由

 ①選択肢を増やしてくれる

 ②ストレスを減らしてくれる

 ③脳の高度な機能を活性化させる。

 遊びは、それ自体がどこまでも本質的である。

・睡眠…遊びが大切な理由

 1時間の眠りが、数時間分の成果を生む

 (私たちの最大の資産は「自分自身」である、それを守る)

 クリントン元大統領の言葉「過去の大きな失敗は、すべて睡眠不足に起因している

 あとで最高の成果を出すために、目の前の些末な仕事を切り捨て眠る

 →まさにこれがトレードオフ…これができれば、やがて圧倒的な利益を得る

 マルコム・グラッドウェルが提唱した「一万時間の法則」この中で注目されていないデータがある。一流バイオリニストは「一日平均8.6時間睡眠(これは平均より2時間多い)を取り、週に平均2.8時間の昼寝をしている」これから分かることは、睡眠が一流パフォーマたちの集中力を支えているということ

 ハーバードビジネスレビュー誌:「睡眠不足は企業リスクである。1日の徹夜、1週間の4~5時間睡眠は血中アルコール濃度0.1%(ほろ酔いから酩酊初期の状態:ビール中瓶2~3本程度)に相当する機能低下を引き起こす」

・最終形を明確にする…”かなり”ではダメ、”完全”に明確にする。

 目的が明確でないとき、人はどうでもいいことに時間とエネルギーを浪費する。(たとえば上司の気を引くための社内政治が蔓延するなど)

 言い換えれば、「本質目標」を決めるということ。

 本質目標とは、

 ①具体的でリアル、かつ魅力的で刺激的(心に残る)

 ②一つの決断により、その後のあらゆる決断を不要にする

 (いい決断とは、それ以降の決断を不要にするもの)

 本質目標の発想の仕方は?

 (1)たった一つのことしかできないとしたら何をするか?

 (2)達成をどうやって判定するか?

 (わかりやすく判定できるレベルにまで具体的にする)

・断固として上手に断る

 断ることは「自分の時間を安売りしない」というメッセージ

 機会コストを失うことを忘れない

 長期的に見れば「好印象」よりも「敬意」のほうが大切

 そのために

 ①沈黙を味方につける

 ②上司(部下)にトレードオフを意識させる

 ③肯定を使って否定する

もっとゆっくりYESを言い、もっとすばやくNOを言う

・過去の損失を切り捨てる(キャンセルする)

 Sunk Cost(サンクコスト:埋没費用)に対する心理的バイアス

 また一旦所有してしまうと失うのが怖い「授かり効果」

 →「もったいない」を克服する

 このバイアスに打ち克つ二つの自問自答

 ①まだこれを持っていなかったら、手に入れるのにいくら払うか?

 ②今これを止めたら、何に時間をお金を使えるだろう?

 自分の失敗を認めたとき、初めて失敗は過去のものになる

 「現状維持バイアス」...いつもやっているから、という理由でそれを止められない→今やっていることを試験的に止めてみて不都合があるかどうかを確かめてみる(逆プロトタイプ)

・編集...余剰を削り、本質を取り出す

 (1)削除する 決断の本質は「選択肢を減らす」こと

 (2)凝縮する 無意味な行動を重要な一つの行動に置き換える

 (3)修正する 本質目標に向かう行動に修正する

 (4)抑制する 「より少なく」

・線引き...境界を決めると自由になれる

 本人が解決すべき問題を肩代わりするのは人助けではない

 自分の境界を決めて、他人の侵入を阻止する。自分の居場所を確保する

・バッファ...最悪の事態を想定する

 「6時間で木を切れと言われたら、最初の1時間は斧を研ぐのに使うだろう」....エブラハム・リンカーン

 最悪の事態を想定しつつ「準備」と「計画」に全力を注ぐ

 「計画錯誤」(プランニング・ファラシー)人は作業にかかる時間を短く見積もり過ぎる傾向がある....1979年 ダニエル・カーネマンが提唱した

 →見積もった時間は、常に1.5倍に増やしてスケジュールを立てる

・削減...仕事を減らし、成果を増やす

 全体の進捗を邪魔しているボトルネックを発見する

 仕事を減らすことによって、より多くを生み出す

・前進...小さな一歩を積み重ねる

 人間のモチベーションに対してもっとも効果的なのは「前に進んでいる」という感覚である

 ハーバードビジネスレビュー誌の「モチベーションとは何か?」で指摘されている「人の意欲を高める二つの要因」=「達成」と「達成が認められること」...心理学者フレデリック・ハーズバーク

 →最近の研究では、「モチベーションにもっとも重要なのは、進歩しているという手応え」「日々のささやかな進歩こそが、やる気を引き出し高いパフォーマンスを可能にする」...テレサ・アマビルとスティーブン・クレイマーが数百人の日記を分析

 大きな進歩を望むなら「日々何度も繰り返す小さな行動にこそ注目すべき。小さな改善を地道に繰り返すことが大きな変化につながる」スタンフォード大学の元教授ヘンリー・B・アイリング

・習慣...本質的な行動を無意識化(習慣化)する

 日々の判断の4割は無意識下で行われている

 正しい習慣を続けていれば、結果は自然とついてくる

 習慣に必要な三要素「トリガー」「行動」「報酬」

 →習慣を変えるためには「トリガー」に注目する

  難しいことから取り組む、習慣作りは一つずつ

・集中…「今何が重要か」を考える

 古代ギリシャの時間を表す言葉「クロノス」と「カイロス

 「クロノス」=量 「カイロス」=質:「今だ」と感じるタイミングのようなもの

 現在「今」に集中する→今を楽しむ(過去や未来に囚われない。今こそが大事

 「未来を頭の中に抱えない」....未来のことは紙に書きだす

 (1)有用なアイデアを忘れない

 (2)覚えているうちに何かやらなくては」という漠然とした焦りを感じなくて済む

 →書き出したリストに優先順位を付けることで、その後の決断を減らす(=悩みを減らす)

 

<メモ>キーワード

できる人はNOと言う

みんなを優先することは、誰をも優先しないこと

どちらも捨てがたい。そこで選ぶ。これを「トレードオフ」と言う。

・「何を諦めるか?」でなく、「何に全力を注ぐか?」と考える。