2019.4.14「人生を面白くする本物の教養」出口治明

今週読み終えた本は「人生を面白くする本物の教養」出口治明著。

出口さんの本は面白くてためになる、ということで今回も以前から気になっていた1冊を読んでみた。

まずは目次

第1章 教養とは何か?
第2章 日本のリーダー層は勉強が足りない
第3章 出口流・知的生産の方法
第4章 本を読む
第5章 人に会う
第6章 旅に出る
第7章 教養としての時事問題―国内編
第8章 教養としての時事問題―世界のなかの日本編
第9章 英語はあなたの人生を変える
第10章 自分の頭で考える生き方

冒頭にシャネルの創業者ココ・シャネルの言葉が紹介されてる。「私のような大学も出ていない年老いた女でも、道端に咲いている花の名前を一日に一つくらいは覚えることができる。一つ名前を知れば世界の謎が一つ解けたことになる。その分だけ人生と世界は単純になっていく。だからこそ人生は楽しく、生きることは素晴らしい。」これが教養を身につける目的であり、「教養とは生き方そのもの」ということだろう。

以下、心に残る言葉を記す。

第1章 教養とは何か

・「より面白い人生、より楽しい人生を送って、悔いなく生涯を終えるためのツール」それが教養の本質である。

・「知ること」には「嫌いなものを減らす」効果もある。先入観による嫌悪感を減らすことができる。

・教養の本質のもう一つは、「自分の頭で考える」ことにある。知識に加えて、それを素材にして「自分の頭で考える」ことが教養である。

・結論を急いで「分かった」と思おうとするのも間違いのもと。整えられた「答え」で済ませてしまうのは、その方が楽だから。スッキリしているのは多くの情報が削ぎ落とされ形が整えられているからである。しかし多くの場合、削ぎ落とされた部分が肝だったり、形を整える際に、道理ではなく無理が入り込んでいる。

・人間が意欲的、主体的に行動するためには「腑に落ちている」ことが必須である。

・「人間社会とはいびつな欠片が集まって一つの安定状態を形成するもの」。大事なのは「いびつな欠片」を指摘することではなく、全体としての「安定な状態」を把握することである。

 

第2章 日本のリーダー層は勉強が足りない

・「無知の知古代ギリシャの哲学者ソクラテスが唱えた。私たちはまだまだ知らないことが多い、という自己認識から始めることが大切である。

・グローバルビジネスの現場で重視されているのは「Win・Winの関係」よりも「人間力」である。この人は「面白そうだ」と思ってもらえるかどうか、がポイントとなる。

・面白さの源は、「ボキャブラリー」の豊富さ、言い換えれば「引き出しの数」の多さ。話題が豊富で様々なテーマで会話できる力。

・西洋にはギリシア・ローマの時代以来、リベラルアーツという概念がある。一人前の人間であれば備えておくべき教養のことであり、次の七分野からなる。

算術、幾何、天文学、音楽、文法学、修辞学、論理学

・広く深い知識を持っていても、それだけではダメ。決定的に重要なのは「自分の意見」を持っていること。

・オックスフォード大学の学長の言葉「インドを失った連合王国(イギリス)は今後大きく成長できない国家、いわば没落が運命づけられている国家です。未来のリーダーたちに連合王国の現実を過不足なくしっかり理解してもらいたいのです。そして没落を止めることはできないまでも、そのスピードを緩めることが、いかにチャレンジングで難しい仕事であるかを理解し納得してもらいたいと考えています。」この見事なまでのリアリズムに脱帽。

そしてオックスフォードで最も優秀な学生は外交官を目指し、次に優秀な学生は次の世代を育てる教師を目指す。

・戦後の日本社会は、冷戦構造という大枠の中で、「キャッチアップモデル」「人口増加」「高度成長」という3つのキーワードで説明できる。

・今の日本に定着している労働慣行「青田買いから始まって、終身雇用、年功序列、定年」はすべてワンセットの特異な労働慣行である。

・閉じた世界の中では、何よりも企業に対するロイヤリティ(忠誠心)が高く評価される風土が出来上がる。年功序列は、成果をある程度無視することから、これに拍車をかける。忠誠心を測るのは労働時間、こうして長時間労働という悪しき慣行が蔓延った。

・戦後の日本がいかに特異な社会であったか。このような夢のような社会は、世界史をのどこを振り返ってもほとんど存在しない。

 半世紀以上も戦争がない

 高度成長(平均実質成長率約7%)が40年近く続き

 人口も増え続け

 平均寿命(男性)も50歳そこそこから80歳にまで延びた

・農産物の輸出国第1位はアメリカ。では第2位はというと、ほとんどの人は知らないがネーデルランド(オランダ)である。九州くらいの面積しかない小さな国。ところが農産物の輸出額は9〜10兆円もある。日本の農業にも大きな可能性があることがわかる。

・日本が狭い国だと思っている人はかなり勉強不足。日本の領海の面積は世界第6位。先程の農業に加え海洋資源も日本の大きな余力である。

 

第3章 知的生産の方法

・教養には「知識がある」だけでは不十分で、それに加えて「自分の頭で考える」ことが不可欠である。

・「今さらもう遅い」は単なる言い訳。今が一番若い。過去を変えることはできない。変えられるのは未来のことだけ。

・物事を考えるコツはいくつかある。第1に「タテ」と「ヨコ」で考えること。「タテ」は時間軸であり歴史軸、「ヨコ」は空間軸であり世界軸である。つまり時間軸と空間軸という二つの視点を交えて、二次元で考えるということ。

・第2は、「国語でなく算数で考える」こと。要するに定性的な発想だけでなく、定量的に考えるということである。物事を考える際には、理屈だけでなく常に数字(データ)を参照して考えることが大事である。

これは言い換えると「数字・ファクト・ロジック」の3要素で考えるということ。

・物事の本質は、たいていシンプルなロジックで捉えことができる。人間は本来シンプルな生き物だからだ。逆に言うとシンプルなロジックで理解できないものは、本質を捉えていない可能性がある。そもそも人間はそんなに賢い動物ではない。むしろ単純な動物。そうした人間が作っている社会も、その本質は単純であるはず。であれば人間社会の本質は誰でもシンプルに説明できるはずである。

・偽物を見抜く力も教養の一つ。

・物事の本質をシンプルに捉えるに当たっては、「なにかに例えて考える」つまりアナロジーが有効な場合が多い。一見複雑に見えるものでも、他のものに例えて抽象化すれば、本質を捉えやすくなる。これも「自分の頭で考える」コツの一つ。

・市民の一人一人が社会常識を疑うことによって、社会は健全に発展し、自浄作用が機能する。それが近代国家におけるリテラシーと言われるもの。リテラシーは教養そのものといっても過言ではない。

・機密情報より、物を言うのはのは「考える力」。考える力があれば、普通に入手できる情報であっても、それらを分析するだけで、それまで見えていなかった世界が見えてくる。それが教養の力であり、知の力である。

・とにかく大量の情報に接すると、自ずとその分野に対して造詣が深くなる。

・自分の行動をルール化して判断を省力化する。その都度判断・意思決定するのは大変なこと、あらかじめ基準やルールを決めておき機械的に行動する、言い換えれば習慣化しておく。

 

第4章 本を読む

・教養を培ってくれたのは「本・人・旅」の三つ。本から50%、人から25%、旅から25%

・私の価値観では「面白いかどうか」が常に一番上にある。

・ゴルフとテレビを捨てて、本を読む時間を確保。同感!

・5~10ページ読んで面白いと思ったら最後まで読み、そうでなければその時点で止めてしまう。読んでいて分からないところが出てきたら、腑に落ちるまで何度も同じところを読み返す。著者の主張をしっかりと理解できなければ読書の意義も半減してしまう。

・速読は百害あって一利なし。本の内容が自分の中に血肉化されなければ読書の意味がない。本を読むのにかかる時間は、その人の知識量で決まってくるものであり、単純に目で文字を追う速度とは関係ない。

・最初の1冊目は「点の理解」にとどまる。2冊目を読むと「線の理解」が浮かんでくる。さらに5冊くらい読むと、その分野の全体像が見えてきて、一気に「面の理解」に広がる。1ヶ月くらい時間をかけて10冊くらい読むと、その分野の専門家と話しても内容がわかり、会話が楽しくなってくる。こうして新しい分野を開拓する。

新聞の書評欄は新聞の中で、最もクオリティの高いページである。書評はそれぞれの分野の専門家が署名入りで書いている。バカなことは書けない、笑われてしまう。

アレクサンドロスアラビア語に直せば「イスカンダル」になる。宇宙戦艦ヤマトが目指した宇宙の彼方の国。

 

第5章 人に会う

・本も旅も人。本を読むことは、著者と対話すること、旅は異なる場所に住む人を知ること。

古典を読めば過去の賢人と対話ができる、つまり本はどちらかといえば時間軸。旅は離れた場所に行くことだから空間軸。「タテ」と「ヨコ」の思考法で行けば、本はタテ、旅はヨコになる。

・私たち日本人は、「客」という立場、「接客スタッフ」という立場に過剰適応しているのではないか。立場や役割ではなく、所詮人間は人間という意識を持つべき。

・責務は最小限、面白いことは最大限にしたい。「責務はミニマム、面白いことはマキシマム」が人生の理想。

・人間は本来、次の世代のために生きている動物。子供を育て上げたら前の世代はいつ死んでもいい。人間が老人になっても生きているのは、人生で学んだ様々なことを次の世代に語り伝えることによって、次の世代をより生きやすくするためである。

・北京在住のライター、多田麻美さんの言葉。

「政治体制が違っていても、人の暮らしに必要なものは変わらない。暖かい家と食事、そして心を許せる友だち」

 

第6章 旅に出る

・中国の書店で一番目立つところにおいてある本は、大体が「お金儲けの本」か「歴史の本」。毛沢東の本は、埃をかぶっており、ほとんど買い手がいないことがよく分かる。

・人生の楽しみは喜怒哀楽の総量(絶対値)にある。

 

第7章 教養としての時事問題(国内)

・教育とは本来、人間が生きていく上に必要な武器を与えるもの。一つは「考える力」、もう一つは「生きた実践的な知識」

・現代の選挙システムでは、白票や棄権は有力候補に投票するのと全く同じ結果をもたらす。

チャーチルの言葉「選挙とは、ろくでもない人の中から、現時点で税金を上手に分配できそうな少しでも”ましな人”を選び続ける忍耐そのものを言うのである」「だから民主主義は最低の仕組みである。ただし、王政や貴族政、皇帝政など人類のこれまでの政体を除いては」

つまり政治家に立派な人格を期待してはいけないし、安易に政府や政治家を信頼してはならない、とチャーチルは言っている。

しかし一方で、政治家も政府も市民から離れ敵対して存在しているのではなく、私たち市民が自ら作っていくものである。

・収入は「現金・投資・預金」の3箇所に分けて所有する。これを「財産三分法」という。

公的年金は破綻するか?

結論を言うと、政府が破綻しない限り、公的年金も破綻しない。国債を発行できる限り、公的年金の破綻はありえない。言い換えると公的年金が破綻するのは、国債が発行できなくなる時、ということ。

(日本の税収は約55兆円、それに対して歳出は約96兆円。なぜこれが可能か?国債を発行しているから)

・私たちは金融機関を信用し、金融機関は国を信用するという、信用の入れ子構造の中で生きている。したがって近代国家において最も信用できる金融機関は、最終的には国ということになる。その結果、近代国家では国の格付け以上の格付けを、その国の金融機関は得ることができない。近代国家では、国以上に安全な金融機関は存在し得ない。

・日本の年金問題の根っこは、「小負担・中給付」にある。日本の負担(税+社会保険料)はOECDの平均以下であり、社会保障給付はOECDの平均以上。「負担=給付」でないこのモデルが中長期的に維持できないことは、簡単な算数で明らか。では何故このモデルを採用したのか?それは高度成長で将来の税収が自然に増加すると考えたから。皆保険・皆年金という現行の社会保障制度の骨格が完成したのは1961年のことである。この時代は働く人11人で一人の高齢者を養っていた。また当時の男性の平均寿命は65歳前後。つまり年金をもらっていた期間は約5年であった。しかし現在ではサッカーチームから騎馬戦、さらには肩車になり、高齢者を支える期間も5年から20年に延びた。

・「小負担・中給付」のモデルは成立しない。私たちの選択肢は2つ。

(1)「中給付」を据え置いて、負担を「小」から「中」に増やし、「中負担・中給付」にシフトする。

(2)負担も給付も増やして「大負担・大給付」に移行する。

公的年金問題の本質は以上につきる。世代間の不公平とか、積立方式が好ましいとか言う議論は枝葉末節に過ぎない。

 

・世代間の不公平

「現在の高齢者は支払った社会保険料の4倍程度受給しているが、若者は将来2倍程度しかもらえない、これは不公平ではないか」と言って糾弾する人は、一見正義の味方を装っているが、どうすれば不公平をなくせるかは提案しない。

この世代間の不公平を声高に叫んでいる人たちは、少子高齢化という我が国の人口統計学的な変化を、口当たりのいい世代間の不公平という言葉に置き換えてアジテーションしているに過ぎない。

不公平をなくす方法は原則として二つしかない。

(1)増税して将来の若者の公的年金を増やす

(2)高齢者の平均寿命を65歳に戻して勤労人口を大幅に増やす(つまり大量の移民を受け入れる)

このどちらか。この提言と整合性を持った批判でなければ、聞く価値がない。

・世界的に見れば、世代間の不公平については、人口統計学的な変化以上の不公平は調整すべきだが、人口統計学的な変化に基づく不公平は甘受するというのが大勢。

公的年金の問題は、社会保障全てに共通する。解決方法は次の3つしかない。

(1)負担を上げる(そうすれば給付も増える)

(2)分配が上手なもっといい政府を作る

(3)生産性を上げて(みんなでよく働いて)経済成長する(そうすれば増収になって給付に回せる)

公的年金問題で一番大事な課題は、厚生年金・健康保険の適用拡大の問題。現行制度では、原則週30時間以上の労働が

厚生年金の適用条件となっている。これを一定の収入があるすべての被用者に適用拡大すれば、わが国の公的年金の財政が改善・安定に向かう。これはドイツがシュレーダー改革で採用した考え方。

社会保障と税金について考える。社会保障という給付は全市民が対象である。一方、所得税は働いている人だけが対象、消費税は全市民が負担する税金である。働く人が多かった時代には所得税だけで成立しても、働く人が少なくなった現在では、所得税だけではやりくりできなくなってきた。高齢者も含めて全員で負担するで初めて成り立つ。

・マクロ経済的には国民所得は国民消費に等しい。これを前提にサッチャーは次のように述べた。「我々が汗水たらして働いた結果得られる所得に課税するのは勤労を罰することになる。それよりも個人が選択的に消費をする際に課税するほうがずっと公平である。」

少子化問題こそ日本が抱える根元的、本質的課題である。課題解決の大前提として「子供は社会の宝である」という動物である人間として当たり前の基本認識が、社会の隅々まで徹底することが必要。

・人間は次の世代のために生きている。洋の東西を問わず沈む船から救命ボートに乗り移るときは、子供、女性、男性、老人(高齢者)の順である。子供が最優先で高齢者が最後。それが生命の厳然たる順列である。

・フランスの「シラク三原則」

 フランスの文化や伝統を守るためには、フランス語を母語(マザータング)とする人工を増やさなければならない(文化とはは言語である)という考えのもと

[第Ⅰ原則]赤ちゃんを生んでも経済的に困らない措置をとる(子供が増える度に、手厚い給付を受けられる。経済的解離を社会で埋める)

[第2原則]子供を作った働く女性が困らない環境を整える(最初の1年間の育児休職中はほぼ100%の給与を保証する。つまりコストのかかる0歳児保育は極力親に任せるという考え方)

[第3原則]子育てで最長3年間休職しても、継続して勤務していたものと見なし、元の役職に戻れる。(人事評価も変化しない)

・フランスは子育て支援GDPの約3%を投資している。さらに、法律婚であろうと事実婚であろうと、あるいはシングルであろうと生まれた子供は社会の宝であって、一切差別をしないという大原則が貫かれている。

夫婦別姓いついて

 持統天皇の時代に日本という国号がほぼ確定したので、日本には1,300年以上の歴史がある。1,300年の歴史のなかで夫婦同姓が実施されたのは明治31年(1898年)に民法が成立して以来、わずか120年。あとの期間は、平安時代の妻問婚(別姓)が代表的だが、夫婦同姓ではなかった。

・高齢化対策は「年齢フリー原則」がキモ

「平均寿命ー健康寿命=介護」であることから、超高齢化社会対策の基軸は健康寿命を延ばすことにある。健康寿命を伸ばすベストの方法は「働くこと」、であるとすれば真っ先にすることは定年制の廃止。定年制を廃止すれば、年功序列型賃金はたちどころに同一労働同一賃金に移行し、労働流動化も実現する。そうすれば公的年金の支給年齢を70歳に上げても問題は生じないだろう。

・既に日本には800万戸以上の空き家がある。不動産が資産形成に役立ったのは、人口増加と高度成長が前提であった。

・社会問題や時事問題の本質を捉えるために必要な二つの着眼点。

(1)「動機」、原因といってもよい。この問題は何が動機で起こっているのか、そのメカニズムを見極めることが肝要

(2)「本音」と「建前」を見分けること。現代社会では、何事にも大義名分が必要であり、表に出てくるのは建前ばかり。しかし、建前の裏には必ず本音が潜んでいる

 

第8章 教養としての時事問題(世界の中の日本編)

・どんな事例であれ、すべて100%メリットという話はない。必ずメリットとデメリットが混在している。

・ヨーロッパでは「固有の領土」という概念は存在しない。領土問題についての人間の知恵は、つまるところ「かつては戦争して取り合っていたけれども、今はできるだけ戦争をしないようにしている」という一点に集約される。国境紛争は話し合いで解決するのが基本的プロとコールであり、互いの主張がどうしても噛み合わない場合は、当面実効支配を是認しようというのが暗黙の了解である。知恵が出るまで時間をかけて待つというスタンス。

・「ナショナリズムとは、劣等感と不義を結んだ愛国心である」歴史学者ルカーチの言葉。

・抽象的な観念として思い描かれる中国と、個別具体的な中国人の間には大きなギャップがある。

・エネルギー問題は日本のアキレス腱。石炭を掘るのは非常に危険な作業で、今でも年間数百人が命を落としている。原発事故よりを多くの人が継続的に犠牲になっている。

地球温暖化は、人類が直面している諸課題の中でも「幹中の幹」である。

 

第9章 英語はあなたの人生を変える

・事実上、英語が世界共通語(リンガ・フランカ)になっている。もはや英語は避けて通れない。

 

第10章 自分の頭で考える生き方

・1年は何時間あるか?24×365=8,760時間である。そのうち仕事をしているのは、残業を入れても2,000時間程度。私たちが仕事に費やしている時間は、8,760分の2,000であるから2割ちょっとしかない。

2〜3割の仕事の時間は、7〜8割の時間を確保するための手段である。人生にとって重要なのは2〜3割の仕事(ワーク)ではなく、7〜8割の生活(ライフ)に決まっている。

・私たちは「職場の一員」である前に「社会の一員」である。職場に過剰適応してはならない。

・職場内での序列が人間のランキングだと勘違いしている人がいる。企業の役職は、それぞれの役割を示しているに過ぎない。企業のトップは「機能」、社長や会長になったからといって、別にその人の人格が向上したとか人間的価値が増大したわけではない。出世とは、極論すれば、単に「機能」が変わっただけ。

・自分のやりたいことは、人生のステージによって様々に変わるし、変わってもいい。

・相性は現実の職場では、極めて重要である。

・人間が物事を考えるときの言語は「マザータング」(母語)である。日本語の文章をちゃんと書けることは、物事を考えるための最低条件である。

・少数精鋭とは、「精鋭を少数集める」のではなく「少数だから精鋭になる」

・情報を共有する会議は30分、何かを決める会議は1時間が基本。

・会議室を少なくすれば、会議が良くなる。

・本当に大事だと思っている部署には、自然に足が向く。